設計室での独り言 ヘ)

おおよそ「江戸時代」の設計です。標高500m、3km登れば尾根の裏は物見岩、五色岳(お釜)からの濁川渓谷でその地形特有の「巻き風」が吹き荒れる。滞在5か月にて200年前の設計者からのメッセージが、なんとなくですが伝わってきたような気がします。
↑設計図ですが、方角は上が南です。しかもすぐさま法面にておおよそ10m上には峩々温泉へと通じる道路があります。法面には四季折々の植物と樹齢を重ねた樹木たち、道路のさらに上には湯神社(本殿)へ向かう法面の連続です。
夏場を考えると、本来強い日差しが当たるところが樹木たちによって見事に遮られ、冷気が法面を伝って植物たちを揺らしながらゆっくり降りてくる。降りてきた「風」は開け放しの掃き出し窓より部屋を通り、そして北側の敷地へと通り抜けていく。
冬場とすれば、どの部屋も直接「外部」へ接触する間取りはなくて、取り巻く「廊下」の建具によって寒気が遮られる。どおりで「火鉢」が多いわけです;^
本館から外に出て少々歩いて登ると、閑静な森林の中に「小川」があります。不思議なほど針葉樹が少なく常に整備しているかのような森。その小川に手を入れてみると「お湯」・・・。名号館五代目女将に聞けば、建物南側の雪は自然に溶けているとの事。温泉が湧いているようです。
わたくしの知る「温泉」は殆どがボーリングによってポンプアップされた揚水式汲み上げ温泉です。しかも入浴人数を確保するために大きな浴槽の設計により汲み上げた温泉の半分以上をリターンして、ろ過装置により循環させて清浄化しております。ここはこうしている間にも浴槽に温泉が流れ込んできております;^^
大昔より慕われた青根温泉。しっかりと自然と向き合いその恵みを最大限に生かして生きていくための「設計」。
最近感じていることです。
ん~。。。